なぜ玉川温泉に全国からがん患者が集まるのか“奇跡の湯”玉川温泉の至福


奇跡は起こらない
玉川温泉側もその見地に立っていて、温泉の効能書きには、悪性腫瘍、つまりがんは、適応症ではなく、重症心臓病や重症高血圧症とともに、禁忌症の中に含めています。
つまり温泉の中に入ってはいけない病気になっているわけです。

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「再発予防のために来る初期の人は体調がよくなったりしていいのですが、末期がんの人は体力的にちょっときついですね。
温泉でよくなったという人は少ないです」これは、玉川温泉にある診療所で湯治客のさまざまな相談に乗っている看護師の阿部洋子さんの話です。

「体力がなく、食べられないとか、病院で点滴していたがそれがいやで逃げ出してここへ来る人もいますが、そういう方はやはり具合が悪くなって熱が出たりしています。
田沢湖の町立病院まで救急車で運び治療してもらっています。そういう重症の方は月15人ぐらいいます。岩盤で転んだり、風呂場で滑ったりして怪我する人が多いですが、
中に、子宮がんの女性が大量出血し動けなくなった人もいます。まだ若い、35歳ぐらいの方です。心マッサージをしながら町立病院まで送っていったが、その甲斐もなく、その日のうちに亡くなられました」

やはり玉川温泉といえども、温泉の力でがんが消えたり治ったりするといった奇跡は起こらないようです。
当然といえば当然です。しかし、それでも、ワラにもすがるように全国各地から人々がやって来ます。

玉川に来たことで救われた

旅館の食堂で食事をしていたら、中年女性に声をかけられました。「『がんばらない』の鎌田さんですか?
 先生の本、たくさん読んでいます」と。本やテレビの影響でしょうが、見知らぬ人にこう声をかけられるのはやはり面映ゆいですね。

写真が1枚差し出されました。その人のお兄さんと一緒に写っている写真です。

「兄の1周忌の追悼にここへ来たんです。56歳、大腸がんでした」
手術をしたけれども、転移をしたら再手術はしないとその兄は決めていました。運悪く再発してしまいました。抗がん剤治療を受け、そして玉川温泉に行きたいといって、3回来たそうです

来るたびに体調がとてもよくなり、4回目の予約をしていたが、脊椎への転移が広がり、歩けなくなって来れなくなった。
転移は肝臓や肺へも広がり、病院で治療を受けていたが、最後は家がいいと言うので、我が家へ兄を移し、そこで家族に見守られて亡くなったといいます。

「兄は玉川温泉で元気をもらっていたので、遺髪を持って来ました。来てみて、なぜ兄が玉川にこだわってきたのか、わかったような気がします」

実は、がんはこのお兄さんだけではない。その人自身も子宮がんを患っており、父も胃がんで亡くなっている。

「おそらく、がんの家系なんでしょうね。兄が私のことを案じて、玉川に引き寄せてくれたのかもしれません」


強酸性の温泉なので、5倍以上に薄めて飲む。レモン水のような感じ。胃酸過多や貧血などによいといわれる。ただし、飲泉の後は真水でうがいが必要

がんの家系が存在することは確かです。しかし、医学的に見て、この方の家族はがん家系ではありません。
家族性、遺伝性のがんはごくまれで、乳がん、卵巣がん、大腸がんの一部に見られるだけ。ここを誤解している人が多いのです。
だからこの方の場合、遺伝でがんの悪化を心配する必要はないのですが、ただ、これだけ家族にがんが多いと、不安がつのるのは否めないかもしれません。
もしかしたら、NK細胞が少ないとか、がん抑制遺伝子の活性が弱いとか、家系がわずかに関係している可能性はあるかもしれません。

しかし、そうでありながらも、彼女はここに希望を見つけたようです。兄は3回も来たのに助からずに死んだ、と玉川をなじるのではなく、玉川に来たことで兄の気持ちが少し救われたと思い、
それをここで発見しています。どうやらそこに玉川温泉の価値があるような気がします。

自然と一体になった岩盤浴

テント張りとは川を隔てて、小さな四角の露天風呂があります。そこで出会ったのが進行胃がんで手術をした茨城在住の女性(63歳)です
。彼女は、ここへ来る前は、やはりこの玉川と同じようにがん患者に人気のある、福島県三春町にある「やわらぎの湯」という温泉へ通い続けていたそうです。
岩盤浴もあり、玉川よりも強いラジウム線が放射されていることが売り物になっている温泉です。ところが、彼女はきっぱりとこう言います。

「初めてここへ来たんですけど、いっぺんに虜になりました。向こうと圧倒的に違うのは、景色。その爽快感です
向こうの岩盤浴は室内、大自然の中で、自然と一体になって浴するこちらのほうが体の中から元気のエネルギーが沸いてくる感じがします」

やはり三春の温泉に体を癒しに行き続けていた中年女性3人組も同じことを言っています。3人のうち2人が大腸がん仲間です。再発防止を目的に来たそうです。

「ゆったりしていて、環境的にはこっちのほうが断然いいですね」
「時間が止まっているって感じ。ここには、いわゆる温泉にある遊びが何もない。だから最初、飽きちゃうかなと思っていたけど、何日いても飽きない。不思議ね」

伝説や希望が満ちている

その日は、青空の中をうろこ雲がなびく、実にさわやかな秋晴れでした。その開放感もあるのか、露天の女性はお腹をむき出しにし、ぼくに何度も胃の手術の傷痕を見せてくれるのです。
診療室では女性の裸を見慣れているぼくも、ここではちょっとたじろぎます。

「最近CTを撮ったら、卵巣に腫瘍の影があることが判明したんです。転移の可能性があります。でも助かりたい。元気になりたい」

玉川温泉には、がん患者が元気になるような風説があふれていました。彼女も、よくなった先輩の話を聞いたといいます。

「肝臓がんで、リンパ節転移があり、手術ができない50歳の女性とすぐ知り合いになりました。その女性から、玉川に来出して、ついにがんが消えた、
転移も消えたという話を聞き、恐れていた転移を目の当たりにした私にも、希望や勇気が持てたんです」

このような「がんに勝った」「がんに負けない」という伝説や希望が、ここには満ちています。
テントの中、大浴場、旅館の炊事場、食堂、いたるところで、体験豊富な玉川先輩たちがさまよえる若葉マークの患者たちに語りついでいます。

夜も岩盤浴をする人がいると聞き込んだぼくは、ただ一面闇という中を懐中電灯だけを頼りにテント目指して行きました。国立公園の中なので街灯をつけられないそうです。

驚きました。テントの中は満杯なのです。しかも寝ながらも、いろんな話の華が飛び交い、談笑も耐えないのです。テントの中へ入るのは躊躇しました。
ぼくは闇の中でじっーとたたずんでいました。ほぼ全員がん患者のようです。多くはがんの再発者のようです。有名な大病院で見放された患者たちが集まっているのかもしれない。
都会では、どこもいい顔をしてくれない。がん難民なのかもしれません。でも明るいのです。テントの中は大笑いです。不思議な世界が広がっていました。玉川温泉の役割が何か少しわかったような気がしました。

丸裸の人間同士のつきあい

こうして露天風呂の縁に座って足浴をしながら彼女と話していると、彼女から「一緒にお風呂に入りましょう」と誘われました。
足浴だけでタジタジになっているぼくを見た彼女は、痺れを切らしたのか、あっけらかんとハダカになって、ドボンと露天の湯の人となったのです。うろたえました。

しかし、後で振り返ってみると、気恥ずかしく思ったぼくのほうが、恥ずかしい思いがしました。
そうです。ここには男も女もない。生まれも育ちも、そして学歴も地位も無縁です。それなのにぼくは……。彼女はぼくの前でハダカになることによって、
心まで丸裸になることのすばらしさを示したのではなかったか。

支配人の工藤さんもこう語っています。
「お客さん同士の気持ち、心のケアは大きなウエイトを占めていると思います。普通病気を患っている人はその悪い部分は隠しながら生活をしている。
それがここでは誰もが分け隔てなく、ざっくばらんに話す。体を何カ所切ったとか、がんをどのくらい取ったとか。そういうのを聞くと、自分も話したくなり、気持ちも楽なる。
孤独に悩んでいた患者が孤独ではなくなるんです」

人間が丸裸になれる、そしてそれをまるごと受け止め、癒しあう。そんな力がここにはある、と思いました。がんと闘っている、あるいはがんとともに生きているという仲間意識で、
互いに分かり合えるということもあるでしょう。しかし、それ以上に、人間が心から裸になれるということが大事で、それだからこそ、心置きなく何でも話すことができる、
普段社会や家庭の中で言えなかったがん患者の苦しみや悩みを吐き出し語り合う。そしてこの話すことによって、一種のカタルシスが生まれ、人々の体の中に育った膿み、
心の病を追い出している。それが結果的にがんや病気の回復、健康増進にいいということなのではないか。

強酸性の温泉なので、5倍以上に薄めて飲む。レモン水のような感じ。胃酸過多や貧血などによいといわれる。ただし、飲泉の後は真水でうがいが必要

このように、心を裸にして語り合い、つきあう、昔の日本にはどこにでも見られた井戸端会議の光景が、ここ玉川温泉にはあったのです。
日本人が失いだしているコミュニケーションの原点を見る思いです。そればかりか、玉川温泉というところは、さらに人と自然、体と心、
細胞と心のつながりまでもうまくつないでくれる空間のような気がします。一度来たがん患者をもう一度来たくさせる、不思議な力を持った「場」なのでしょう。

もしぼくががんになったら、もちろん現代医学の世話になったうえでのことですが、きっとこの玉川に来るような予感がします。

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放射線量は約3.52μSV/h 

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