水の浄化処理法  微生物での処理方法 KDD
B-97-13 
生物膜法
 生物膜法は、担体の表面に微生物を付着させて、これに汚水の汚濁物質を分解させる方法です。担体の表面に付着した微生物を生物膜と呼びます。
台所のシンクの表面にできるぬめりなども生物膜です。
 生物膜法は、活性汚泥法のように、返送汚泥の調整などのきめ細かな維持管理が必要ないため、比較的管理しやすい利点があります。活性汚泥法の場合は
、汚水の量が少なすぎても不調になりますが、生物膜法は一時的な低負荷の影響をうけにくいです。しかし、負荷が高くなった場合、活性汚泥法ではばっ気を強くする
などである程度の対応が可能ですが、生物膜は施設を拡充する以外に方法がありません。また、SSの流入には弱く、目詰まりの原因となります。
 生物膜は、微生物が増殖したり汚水のSSを吸着したりして厚くなっていくので、定期的な除去が必要です。除去した汚泥を固液分離する施設が必要です。導
入する際には、この点にも十分な検討が必要です。
 生物膜には、表面には好気的な微生物が、内側には嫌気的な微生物が生息しており、その細菌を食べる原生動物や小動物も活性汚泥より種類が多いです。
このため、食物連鎖が多段になって、余剰汚泥の発生量が少ないです。また、活性汚泥の余剰汚泥よりも水分が少ない汚泥が回収できます。しかし、
SSの流入が多すぎて汚泥が蓄積しすぎると、チョウバエなどの不快な虫が発生します。
 生物膜法には、活性汚泥法のばっ気槽にプラスチックなどの担体を浸したりプラスチックの担体にシャワー状に汚水を散布したりする接触酸化法と、円板の一部を
汚水中に浸して回転させる回転円板法があります。プラスチックろ材の代わりにカキ殻などの安価なろ材も利用されており、ろ材の交換時期の判断など技術的要素や
経験も必要とされますが、建設費の低減化とリン除去効果があるなど普及に向けて期待されています。
 活性汚泥法
 ばっ気して好気的な微生物に汚濁物質を分解させ、汚濁物質濃度とばっ気量を適切に管理することで凝集する細菌を増殖させて
沈降分離することで、きれいな処理水を得る方法です。適切に管理すれば、比較的低コストで放流レベルの処理水になることから
、生活雑排水や工場排水などで多く利用されている方法です。ふん尿を高濃度で含む畜産排水の場合、これのみで
放流レベルのするのはかなり難しいので、他の方法と組み合わせることが多いです。

活性汚泥法のイメージ図
 活性汚泥で凝集する細菌をズーグレアと呼んでおり、ネバネバを出してお互いがくっついあってフロックと呼ばれる固まりを作ります。
ズーグレアには、微生物が分解できない粒子も取り込んで、汚水から除去する働きもあります。活性汚泥には、ツリガネムシに
代表される原生動物なども生息しており、活性汚泥の善し悪しを判断する良い指標になります。

活性汚泥の顕微鏡観察
 凝集する細菌を増殖させて沈降分離することが重要なため、活性汚泥と汚濁物質の量的バランスが重要です。ばっ気槽の
活性汚泥濃度(MLSS)、投入汚水のBOD濃度、流入するBOD量とばっ気槽の容積の比(BOD容積負荷)、処理時間(日数)など、
適正な設定が必要です。沈降分離の代わりに膜分離を用いる膜分離活性汚泥法は、細菌が凝集する必要がないので、これらの設定が比較的容易です。
 パーラー排水を、活性汚泥法処理する場合、消毒剤や乳房炎の治療に使われる抗生物質などが汚水中に多量に混入すると、
活性汚泥の活力が低下したり、死滅したりして、機能障害が生じるので注意が必要です。
活性汚泥法の基本形は標準活性汚泥法ですが、さまざまな活性汚泥法が開発されています。
 
 膜分離活性汚泥法 従来の活性汚泥法は、処理水と活性汚泥の分離に、沈殿槽による沈分離が用いられています。この分離効率は、活性汚泥の性状に
大きく左右されてしまうため、汚泥の沈降性を常に良好な状態に維持することに多くの労力を割かれます。そこで、膜ろ過で汚泥と処理水を
分離する膜分離活性汚泥法が開発されました。
 膜分離活性汚泥法では、汚泥の管理が容易、ばっ気槽内の汚泥を高濃度に維持できる、沈殿槽が不要になるので施設がコンパクトになる
などのメリットがあります。しかし、膜のコストが高い、定期的な膜の洗浄(薬液洗浄)や交換が必要、ばっ気槽の挙動が安定しにくく発泡
しやすいなどのデメリットもあります。発泡が激しいときは、汚泥濃度の管理をきちんとし、汚水を徐々に投入することが、改善のポイントです。

 活性汚泥と処理水の分離には、一般に、精密ろ過膜(MF膜、孔径0.02~150μm)または限外ろ過膜(UF膜、分画分子量1,000~300,000)が用いられています。

各種の分離技術と適用範囲

 膜本体の構造は、平膜、管状膜、中空糸膜があり、処理水の分離方法によって内圧型、外圧型などに分けられます。また、設置形式では
、浸漬型、槽外設置型があります。


中空糸膜によるろ過モジュール
 

最初沈殿槽
 汚水には、沈殿させるだけで容易に除去できる有機物が多く含まれています。これを費用をかけずに除去できる施設です。下水処理施設などでは
必ず設置されていますが、畜産排水処理施設では設置されていないことが多いようです。汚泥を取り除いて処理する手間が嫌われているようですが
、一般に固液分離機よりも汚濁物質の除去効果が高く、費用もかからないので、ぜひ活用してもらいたい施設です。 一般的な畜舎汚水を最初沈殿槽に通すと、30~50%のSSと、15~25%のBODが除去できます。この分だけ、これ以降の施設を小さくできるわけです。

 最初沈殿槽は、以下の条件に合わせて設計します。

  • 水面負荷20m3/m2・日以下
  • 滞留時間3時間以上
  • 越流堰負荷50m3/m・日以下

 例えば、1日あたりの汚水が40m3の場合、水面の面積は40m3/日÷20m3/m2・日=2m2以上となります。汚水の排出量がもっとも多い時間帯に、1時間あたり5m3が出るとすれば、
5m3/時×3時間=15m3以上の容積となります。越流堰は40m3/日÷50m3/m・日=0.8m以上あればいいです。水槽の水面を2m四方にする場合、水面の面積は4m2です。すると、
有効水深は15m3/4m2=3.75mになります。これに、汚泥の貯留分を加えます。
 最初沈殿槽は、底を60度以上の傾斜を付けたホッパー状にして、底からエアリフトポンプで汚泥を排出できるようにします。

 接触酸化法

 担体を水の中に浸したところに汚水を通しながらばっ気する方法と、担体の上からシャワー状に汚水をかけて担体の表面を下まで流れ落ちるようにする方法があります
。前者は、下から強いばっ気をして水を抜くことで汚泥の回収ができます。後者は高圧洗浄機などで剥離させて回収するしかなく、閉塞しやすい問題がありましたが、
担体をカーテン状のものにすることで解決する技術が開発されつつあれます。

 簡易ばっ気
 スラリーばっ気よりも粘性の低い汚水をばっ気して、農地還元するときの臭気を低減するとともに、流動性、均質性といった肥料としての質を高める液肥化処理法です。
活性汚泥処理などの浄化処理に比べると、厳しい条件設定が必要ありません。しかし、ばっ気をすると多くの泡が発生するので、施設の構造や管理に注意が必要です。
→豚舎汚水の簡易ばっ気処理
→酪農尿汚水の簡易ばっ気処理

尿汚水の簡易ばっ気法による液肥利用
 回転円盤生物膜法

 円盤の一部を汚水に浸して回転させることで、酸素の供給をする方法です。ばっ気の必要がないので、装置の構造が単純で維持管理が容易です。
汚泥の回収も、円盤の表面を掃除することでできます。
 構造的には単純ですが、機械的な故障もなく、きちんとした処理ができるようにするには、多くのノウハウが必要な方法です。
十分な実績のあるメーカーから導入するようにしてください。


タンクの中で円盤がゆっくりと回転しており、3分の1ほどのところまで汚水が入っている
 生物学的脱窒処理

 硝酸や亜硝酸を窒素ガスにする脱窒菌の作用を利用して、比較的安価に、汚水中の窒素を除去する方法です。畜産排水には窒素が高濃度に含まれていることが多く、
通常の活性汚泥処理だけでは十分に窒素が除去できません。このような場合に生物学的脱窒処理が利用されています。
 生物学的脱窒処理をするためには、脱窒菌が活躍できるように、以下の環境を整える必要があります。窒素は硝酸または亜硝酸の形にする
  尿に含まれるアンモニアは、ばっ気等で酸化して硝酸や亜硝酸にしておく必要があります。 汚泥の滞留時間を長くする
  脱窒菌は増殖が遅いので、脱窒槽の汚泥の滞留時間を長くする必要があります。 電子供与体を加える
  脱窒するためには、メタノール、硫黄、汚水のBODなどといった電子供与体が必要です。人間にとってのご飯に相当するものが電子供与体で、
酸素に相当するものが硝酸や亜硝酸だと考えてください。 嫌気的にする
 酸素があると脱窒は進みません。 pHを調整する   脱窒が進むと、pHが高くなって脱窒が止まってしまいます。適宜、pHの調整が必要です。
電子供与体として、畜舎汚水等の濃度の濃い汚水のBODを利用している場合は、pHの調整が必要ないこともあります。

  1. かく拌する   かく拌すると、効率的に反応が進みます。
 
 ボロ出しが重要

 尿に比べると、ふんには大量のBODが含まれています。汚水を浄化処理する場合、汚水にふんがどの程度入るかは、
施設の規模に大きく影響します。例えば、豚の場合、ふんの70%をボロ出しで汚水に入らないようにすることで
、汚水のBODが85%程度減少します。活性汚泥の場合、ばっ気槽の容量は、汚水のBOD量で決まりますから、設置コストやばっ気に要する電気代などを節約できます。

連続式活性汚泥法

定期的に処理水を排出して汚水を投入する回分式活性汚泥法に対して、汚水を連続的にばっ気槽に投入する方法を連続式活性汚泥法と呼びます。
 膜分離活性汚泥法を除く連続式活性汚泥法は、ばっ気槽から処理水と汚泥が混ざった状態で出てくるので、これを沈降分離するための沈殿槽があります。
ばっ気槽に連続的に投入された汚水の分だけ、ばっ気槽から、処理水と汚泥が混ざったばっ気槽槽混合液が排出されます。ばっ気槽混合液は沈殿槽で処理水と汚泥に分けられます。
汚泥は、返送汚泥としてばっ気槽に戻され、一部は余剰汚泥として排出されます。

 連続式活性汚泥法には、活性汚泥法が開発されてから広く利用されている標準活性汚泥法の他に、余剰汚泥の発生量を少なくできる長時間ばっ気法(長時間エアレーション法)、
維持管理が容易な酸化溝法(オキシデーションディッチ法)、高濃度の汚水を処理するために開発された二段ばっ気法、脱窒の機能を高めた嫌気好気法(AO法)、
循環式嫌気好気法(A2O法)や硝化液循環活性汚泥法(脱窒素活性汚泥法、硝化脱窒法)、処理水と汚泥の分離を膜で行う膜分離活性汚泥法などが実用化されています。


連続式活性汚泥法の処理装置の一例
 

環境を汚染する畜産ではやっていけない

 家畜を飼うと少なからず汚水が発生します。この汚水をただ単に貯留したままにしておくと、悪臭や害虫の発生源になりますし、
浄化処理せずに、河川、湖沼、海洋に放流、または土壌に浸透させると、水域や地下水の汚染源になります。

 一般消費者は、同程度の価格ならば環境を汚染しない商品を買い求めるようになっています。これを無視しては、産業として認められません。
畜産の経営は、価格競争だけではなく、環境保全という付加価値も求められているのです。

 

土壌蒸散

 土壌に浸透させて土の表面から蒸散させる方法です。蒸散とともに、土壌中の微生物による分解も進みます。しかし、活性汚泥のように酸素を送り込んでいるわけではないので、
有機物の分解能力は低いです。有機物に限らず、土壌蒸散させる水のSSが高いと、すぐに目詰まりを起こして土壌全体に浸透しなくなります。活性汚泥法等できちんと浄化処理をした
上で蒸散する方法だと思ってください。なお、土壌蒸散では脱窒による窒素成分の浄化をある程度見込むことができます。
 土壌に浸透できるほどの浄化処理をしたり、農地還元に近い土地面積を確保したりできるならば別ですが、土壌蒸散させる土の下には、地下水の汚染を防ぐための遮水が必要です。
 雨が多い時期に土壌の保水力満杯に水分を含んでしまい、処理水が土に入らなくなることがあります。これを防ぐために、ハウスなどで覆いをするようにします。このとき
、通気性を損なわないようにしてください。
 土壌の蒸散能力は、冬の蒸散が最も少なくなる時期を想定して、1日あたり1L/m2程度です。これに必要な面積の確保が必要です。不足していると、
処理水が土に入らなくなって、別途処分先を探さなくてはならなくなります。ハウスをかけると蒸散が促進されるような気がしますが、逆に換気が悪くなるので
、それほど期待できません。雨水が入らなくなる効果がある程度だと思っておいた方が無難です。
 蒸散は、ミネラル成分や未分解の有機物など、気体になるもの以外は残存しますから、それらが土壌に蓄積していきます。蓄積が進むと、土は、
水がしみ込みにくく保水力のない性質に変わります。こうなると土を交換することになります。土壌の微生物の分解能力を超える有機物が入ると、
その時期が急速に早まりますから、きちんと浄化処理してから、土壌に入れることが大切です。


土壌蒸散は、十分な面積、雨水対策、遮水、適切な浄化処理、土壌の入れ替えが重要です
 メタン発酵法(嫌気性発酵法)

 ふん尿の有機物を嫌気的に微生物に分解させて、メタンガスを発生させる方法です。回収したメタンガスをボイラーや発電に利用できます。ふん尿は、有機物が分解されて、
消化液と呼ばれる液体になります。メタン発酵には、この消化液の処理が必要で、建設費が高いなどの欠点があります。 メタン発酵で得られるガスは、メタンガスが65%程度で
、他に二酸化炭素や硫化水素を含んでいる、バイオガスと呼ばれるものです。このため、メタンガス濃度が100%近い
天然ガスと同じように利用できるわけではありません。まず、金属などを腐食してしまう硫化水素を除去する必要があります。これには機能が安定しているけれどもコストが
かかる化学的方法と、コストが安いけれども管理が不十分だと機能を発揮しなくなる生物学的方法があります。バイオガスを利用するボイラーや発電機は、緊急時のために軽油や
天然ガスでも稼働できるものを導入した方が無難です。 消化液は、ふん尿に含まれている窒素やリンが、ほぼそのままの量で残っています。有機物が分解されることで、
スラリーよりも流動性あり、即効性の高い良質の液肥なので、
農地還元に適しています。悪臭は、スラリーよりは少ないものの、注意が必要です。近隣に民家がない農地に散布するか、土中に注入するインジェクターを使って散布するなどの
対処をしてください。湛水した水田の施肥に利用できるのならば、水口から流し込むだけで手間がかからず、臭気もほとんど問題になりません。消化液は、堆肥と違って窒素の
即効性が高く、ほとんど後効きしないので、化学肥料と同様に元肥だけでなく追肥にも使えます。液肥として利用するときは、農地還元の項目をご覧ください。 
消化液を浄化して河川などへ放流するには、かなりの費用がかかります。基本は農地還元で、どうしても処理しきれない分を浄化するようにします。浄化は、活性汚泥法のみでは
窒素が除去しきれないので、生物学的脱窒などによる処理が必要です。 メタン発酵は、汚水の量や質の安定供給、発酵施設の維持管理、消化液の処理、バイオガスの有効利用
といった管理も必要です。通常の汚水処理よりも複雑になるので、
高度な管理技術が要求されます。管理が適切であれば、低コストで汚水処理でき、エネルギー源を得られる優れた技術です。しかし、管理しきれなくなると、処理が滞って
畜産経営自体に支障をきたすので、導入の際には、十分な検討が必要です。 メタン発酵法には、発酵温度が37℃付近の中温発酵法と、55℃付近の高温発酵法があります。
温発酵法は、加温するためのエネルギー損失が大きいですが、
有機物の分解効率が高い、発酵タンクを小さくできる、高温殺菌処理がなされるなどの特徴があります。また、メタン発酵法は、水分90%程度の液体で発酵させる湿式法と、
水分80%程度の半固形状態で発酵させる乾式法があります。畜舎汚水の場合は、ほとんどが湿式法です。乾式法では、樹木の剪定枝や古紙を汚水に混合してメタン
発酵する方法が行われています。また、畜舎汚水に食品残渣を混合するとガスの発生量が高まり、エネルギー活用型メタン発酵法としてのメリットが高まります。
畜産排水と地域有機質資源を合わせた資源循環型システムの組み立てが期待できる処理方法ですが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に
基づく廃棄物処理業の許可が必要となる場合があるので、注意が必要です。


メタン発酵槽の一例
 

嫌気好気法(AO法)、循環式嫌気好気法(A2O法)

 標準活性汚泥法の糸状性バルキング対策として、ばっ気槽の前に嫌気槽を設けた方法です。後に、リンの除去にも有効であることが示され、
リン除去能力を高めた活性汚泥処理として利用されています。



 嫌気好気法に、生物学的脱窒処理と組み合わせた循環式嫌気好気法(A2O法)などのさまざまな方法が考案されています。

 標準活性汚泥法

 標準活性汚泥法は、従来法とも呼ばれ、全ての活性汚泥法の基本となる方法です。活性汚泥法が開発されて以来、もっとも普及しており、
とても良好な処理水が得られます。しかし、正常に稼働するための条件が厳しい、負荷変動に弱い、窒素やリンの除去率が
比較的低いといった問題があります。他の活性汚泥法は、こういった問題を改善するために開発された、標準活性汚泥法の変法です。

 標準活性汚泥法では、一般に以下の条件で設計・運転されます。畜産排水の多くは、汚水のBODが高いため、
これとは違った条件で稼働させる場合が多いです。

BOD容積負荷 0.3~0.8kgBOD/m3・日
BOD-SS負荷 0.2~0.4kgBOD/kgSS・日
MLSS 1500~2000ppm
ばっ気時間(ばっ気槽滞留時間) 6~8時間
汚水のBOD 300~800ppm
(「水処理工学」技報堂出版 263ページ)

 家畜ふん尿をこのBODまでに希釈することは現実的ではありません。人のし尿処理では、し尿処理施設構造指針によって
脱窒や嫌気消化等を組み合わせることになっています。

 

公共用水域へ排水できる水質は規制されている

 水質汚濁防止法は、人の健康の保護と生活環境の保全を目的としています。これによって、排水を、湖沼、河川、水路、海洋に放流したり、土壌に浸透させたりする場合は
、その水質が規制されています。規制の内容は、放流する水域や経営内容で異なるので、地域の自治体の担当者に問い合わせてください。

 全国一律で決められている規制については、こちらで確認できます。→畜産排水に関する法的規制


放流や土壌浸透できる水質は規制されていま
 汚水を最終的に持って行く先
 汚水は消えてなくなることはありませんから、浄化するなりしても最終的にはどこかに持って行くしかありません。例えば、汚水を浄化して川に流す場合
、汚水を浄化するだけでは終わりではありません。川に放流できたところで終わりなのです。この場合の最終的な処理は、川に放流となります。
また、浄化処理の際に出た汚泥も処理しなくてはなりませんから、堆肥化して農地還元が最終処理となります(注意:汚泥を投入した堆肥は特殊肥料としての販売はできません)。
 最終的な処理の方法によって、汚水の処理方法が違うので、汚水処理を始める時は、まず、ここから決めることになります。もちろん、複数の方法を併用してもいいですが
、その分手間がかかるようになります。畜産排水の場合、以下の方法があります。

農地還元 浄化して湖沼、河川、水路、海洋などに放流浄化して公共下水道等や集落排水施設に投入土壌に浸透(お勧めできない方法です)蒸散循環利用焼却

最終処理方法によって処理方法が変わります
 

酸化溝法(オキシデーションディッチ法)

 1m以下の浅い水路を巡回するような形状のばっ気槽にすることで、少ない動力でばっ気することができる方法です
。一般に長時間ばっ気法(長時間エアレーション法)よりも、ばっ気時間をさらに長くします。窒素の除去率が高く
、管理が容易です。広い設置面積が必要なので、小規模な施設で利用されています。ばっ気装置(ローター)は、
ばっ気用と水流用の2種類を設置すべきです。もし、1台で兼用する場合は、水面が0.3m/秒以上で流れるような能力のものを用いるようにしてください。

 病原性微生物による健康被害

 法的な規制の対象とはなっていませんが、ふん尿に起因する人への健康影響として、サルモネラ、病原性大腸菌O157、クリプトスポリジウムといった
病原性微生物の危険性が懸念されています。特にクリプトスポリジウムは、通常の上水道の浄化処理では除去できません。畜産由来かどうかは
明らかになっていませんが、実際に、これによる被害が起きています。クリプトスポリジウムを含む水を飲用すると、激しい下痢や腹痛を起こし、死亡することもあります。


ふん尿をそのまま環境中に放出するのは危険です
 蒸散

 水蒸気などのガス状にして、大気中に排出する最終的な処理の方法です。遮水した上の土壌に浸透させて蒸散させる土壌蒸散と、
回転円盤法などによる積極的蒸散があります。加熱による蒸発も考えられますが、コストがかかるし、エネルギーの浪費になるので、現実的ではありません。
 土壌蒸散と積極的蒸散のいずれでも、十分な敷地面積、雨水対策、遮水、適切な浄化処理、残留物の処理が重要です。
 堆肥化施設で、処理過程にある堆肥に散布するのも蒸散の1つと考えることができます。堆肥化に支障がなく、悪臭の問題がなく、
でき上がった堆肥の成分が良好であれば、非常に有効な手段です。


乾燥しがちな堆肥舎があれば、汚水処理の有効な手段になる

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