有機物を分解する

有機物（タンパク質やデンプンというような食品などの成分）が河川に過剰に放出されると、微生物や藻類などが異常繁殖します。
夏になると問題になる赤潮も水の汚染が原因です。汚染物質が少ない場合は、自然に存在する微生物によって分解され問題ありません。
しかし、たくさん入ってくると自然の浄化能力では追いつかなくなります。そこで、家庭からの廃水は下水処理場で、工場では廃水処理設備
で浄化してから流す必要があります。このような廃水処理では活性汚泥法と呼ばれる方法が使われます。活性汚泥法では、
大きなプールのような水槽に廃水を流し込みます。このなかには活性汚泥と呼ばれる微生物や原生動物が集まったものが入っています。
微生物や原生動物は廃水中の有機物を食べます。その結果、廃水中の有機物がなくなりきれいな水になります。
これを河川に放流します。活性汚泥法では、微生物を十分に生やすために空気を送り込みます。

窒素を取り除く

活性汚泥法は有機物の中の炭素を除くのに適した方法です。しかし、有機物に含まれる窒素分を十分に取り除くことはできません。
そこで、高濃度の窒素を含む廃水では、脱窒法と呼ばれる方法が行われます。これにも微生物が使われます。脱窒法では
、脱窒菌という微生物が働き、廃水中の窒素を窒素ガスとして空中に放出します。この結果、排水中の窒素が除かれます。
脱窒菌は空気（酸素）の無い状態でよく働きます。ですから、活性汚泥法とは違って、空気は送りません

リンを取り除く

夏になると、湖にアオコが発生して問題になることがあります。アオコが大量発生すると水中の酸素をどんどん消費するので、
魚などが酸素不足で死んだりします。アオコの発生にはリンが関係しています。水のリンの濃度が高まるとアオコなどの藻類が
それを栄養源として増えます。そこで、廃水中のリンを除く必要があります。リンは、廃水中では大部分がリン酸のかたちで存在しています。
このリン酸を食べて体にため込む微生物がいます。この微生物で廃水を処理してやると、水からリンを除くことができます。なお、
廃水を放流する際の有機物、窒素、リンの濃度の上限は法律で決められています。